財 団 概 要

設立趣意書

財団法人ファイザーヘルスリサーチ振興財団は、保健医療・福祉技術の進歩を国民のクオリティ・オブ・ライフの向上に結び付けるために国際的に重要視されつつある「ヘルスリサーチ」と総称される調査研究のわが国における振興を図るため、必要な研究助成と研究者の育成・国際交流を促進することを目的とします。ヘルスリサーチとは、保健医療・福祉分野における科学技術の進展が、必ずしも国民のクオリティ・オブ・ライフの向上につながっていない場合があることから、多元的な学問の方法論を用いてこれらの原因を解明し、最適な保健医療・福祉のシステム構築に役立つ基礎情報を明らかにする調査研究をいいます。

近年における保健医療・福祉に関する知識・技術の進歩には目覚ましいものがあり、医療保険など社会制度の普及発展に伴って、国民の平均余命の大幅な延長と健康水準の向上をもたらしました。その結果、人口から見た社会構造のみならず、社会の生産活動や家庭内労働の社会サービス化などの就労構造の変化から、個人の生活価値様式や家族構成に至るまでの構造的変化を招きました。一方、長寿の実現と共に人々の生活と生命の質に対する関心は一層高まり、保健医療・福祉サービスに対する需要の増大が予想され、限りある保健医療・福祉資源の有効な配分が大きな課題となっています。

これらの問題は、先進諸国のみならず世界の主要国に共通する課題であり、こうした認識を背景に海外主要国では、ヘルスサービスリサーチ、ヘルスシステムリサーチ、ヘルステクノロジーアセスメントなどと呼ばれるヘルスリサーチの研究分野が拓かれ、国際学会の開催や学術誌の刊行が昨今急速に行なわれています。日本での保健医療・福祉分野での研究は、疾病の診断治療あるいは公衆衛生の技術など、保健医療・福祉を内側から支える知識技術の研究が重視され、保健医療・福祉という領域を「外側」から見る調査研究についての関心は薄く十分な発達を見ているとは言い難い実情にあります。

急速な高齢化と共に社会の構造的な変化が進むわが国にとって「ヘルスリサーチ」の振興は必要不可欠であると言えます。本財団は、その認識に立って、この新しい研究分野を拓く調査研究プロジェクトの助成および研究者の国際交流の場を提供すべくファイザー製薬株式会社から拠出の申し出があった基金により設立するものです。

設立発起人

  • 宇澤 弘文  新潟大学経済学部教授
  • 大谷 藤郎  財団法人 藤楓協会理事長
  • 岡本 道雄  神戸市立中央市民病院長
  • 加藤 一郎  学校法人成城学園学園長
  • 中尾 喜久  自治医科大学学長
  • 紫野 巖   ファイザー製薬(株)相談役名誉会長