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リレー随想 - 第 9 回 -

ヘルスリサーチを想う

医薬分業とかかりつけ薬剤師

日本薬剤師会 副会長

伊賀 立二

近年、我国の医薬分業の進展には目を見張るものがあり、平成16年9月における保険薬局での処方せん受取り率からまとめられた分業率は全国平均で52.6%に達している。依然として地域格差はあるものの、医療機関からの処方せんの発行と、保険薬局での調剤という医薬分業はわが国において定着したといえる。しかしながら、多くの場合には医療機関と門前薬局といった図式であり、患者側からは2度手間で不便であるばかりでなく、金銭的にも院内での調剤に比べて高いことなどの指摘があることも事実である。このような観点から、医療費の抑制、医療提供体制の見直しなどの流れの中で、医薬分業についても、今、その質が厳しく問われているといっても過言ではない。

医薬分業とは、「患者本位の医療」を実践するために、処方と調剤とを医師と薬剤師という2 つの職能が独立して、各々の専門性を最大限に発揮し、両者が密接に協力して患者に最良の医療を提供するシステムである。医薬分業の最大のメリットは、医師の処方に対して、薬剤師が鑑査することによって、最大限に医薬品によるリスクを回避することにあるといえる。

患者に安全で安心な医療を提供するためには、保険薬局おいて、厳密な処方鑑査、正確な調剤、的確な服薬指導が実践されなければならない。これらの実践が患者から評価されることにより医薬分業の質が担保され、「かかりつけ薬局」としての評価、さらに「かかりつけ薬剤師」としての信頼をかちとることにより、真の医薬分業が定着するであろう。

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