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リレー随想 - 第 25 回 -

ヘルスリサーチを想う

チーム医療・チームケア

国際医療福祉大学 常務理事・大学院教授

丸木 一成

超高齢時代を迎え、医療福祉分野の質の高い人材育成が急務だ。厚労省は「チーム医療」の推進に力を入れているが、医療の現場だけでなく、地域で暮らす高齢者の生活支援のため、保健・医療・福祉の専門職による協働・連携も重要な課題だ。

読売新聞社から5年前に転職した国際医療福祉大学(栃木県大田原市、学生数約4000人)では、北島政樹学長の肝いりで、チーム医療・チームケアを学ぶ「関連職種連携教育」(InterprofessionalEducation、IPE)に力を入れている。看護師、薬剤師、理学療法士などのリハビリ専門職、社会福祉士などの福祉専門職、病院事務職などを養成する医療福祉の総合大学ならではの強みを生かした教育といえる。2年次は講義「関連職種連携論」、3年次は全員が100前後のグループに分かれて問題解決型体験学習「関連職種連携ワーク」、4年次の「関連職種連携実習」は18の病院や介護老人保健施設で、1人の患者を選び、医療サービス計画を立案する。連携ワークの発表で、脳梗塞で片麻痺が残った主婦(61歳)の在宅復帰をテーマにしたチームが、「夫の好物のおろしハンバーグを自分の力で作る」という目標を決め、各学科の専門性を生かしたプログラムを組み、主婦と家族に笑顔が戻る過程を紹介、最優秀賞に選ばれた。教科書や専門特化の実習では味わえない体験、職種間の情報共有の大切さ、他職種への理解など、現場に出る前に医療福祉の専門職間の意思疎通の大切さを学ぶ意味は大きい。入院から在宅復帰まで各ステージに合わせた「日本型チーム医療・チームケア」は、患者の望む医療福祉の実現につながると思う。

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