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リレー随想 - 第 5 回 -

ヘルスリサーチを想う

医療の定義

医療法人財団 河北総合病院 理事長

河北 博文

医療とは“健康を支援すること”です。WHOの定義によると、健康とは 精神的、身体的、社会的、そしてスピリチュアリィに調和の取れた状態を言います。従来の医療は“医学の社会的適用”と言われていましたが、このことは、医学、医師が中心である感じがすることから、医療を受ける立場からの定義に変えたものです。医療提供に関する基本法と言われている医療法第一条では、医療の理念として“医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、良質、かつ、適切なものでなければならない”さらに“医療は、国民自らの健康の保持のための努力を基礎として、効率的に提供されなければならない”と書かれています。

医療は患者さんが主体であることは言うまでもないことでありますが、最近では利用者の行き過ぎた権利意識が拡大するとともに、患者さんが過剰な期待をもつことも少なくはありません。利用者と提供者が積極的に協働して、安心と信頼を創造しながら、“患者さんにとって必要な医療が適切に得られること”を確立することが良い医療の姿であると確信しています。

医療そのものにも、歴史や地域によって異なった文化があり、病院という組織にも文化はあります。また同時に、医療は検証できるものでなければならず、そのためには、科学性が求められます。この様な観点から、医療の定義と、そして、文化・科学を追及していきたいと考えています。

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