ライブラリー

第 10 回

温故知新 ー助成研究者は今ー

「財団助成研究・・・その後」

千葉県立東金病院 院長 当財団ヘルスリサーチワークショップ サポーター

平井 愛山

※平井愛山氏には2005年の当財団ワークショップ創設に
幹事としてご尽力いただきました

平井愛山

2011年1月12日にご逝去された当財団評議員 開原成允先生を偲んで、
平井愛山氏からご寄稿をいただきました。

この度の開原先生の訃報に接し、悲嘆の極みにあります。開原先生にはじめてお目にかかったのは、先生がMEDIS-DC(医療情報システム開発センター)の理事長をされている時でした。平成12年度の通産省(現経産省)補正予算事業で広域電子カルテネットワーク事業に、地元医師会とともに「わかしお医療ネットワーク」で応募した時に、開原先生は、選考委員長として、どのようなネットワークを目指すのか、いろいろ質問されていたのが印象に残っています。最終選考でわかしおネットワークが選抜され、同年12月から実証実験がはじまりますと、開原先生は現地に視察に来られ、貴重なアドバイスをいただくとともに、継続してご指導をいただき、深く感謝しています。

2003年には、この財団の企画で開原先生と充実した対談をさせていただき、東金病院の取り組みを高く評価していただき、恐縮した次第です。その後、財団のヘルスリサーチワークショップ立ち上げの際にアドバイザーとして種々ご指導をいただきました。先生の医療における大きな業績は今更言うまでもありませんが、財団の活動においても先生は誰よりも熱い情熱を持って、どんな些細な問題にも真摯に対処し、解決に向けてグイグイ引っ張ってくださいました。その指導・統率力に心から敬服しておりました。そして何よりも、誰に対しても温かく優しい笑顔で接してくださるそのお人柄を慕っておりました。

開原先生との対談

開原先生との対談(2003年)

先生は財団の選考委員として、ヘルスリサーチフォーラムの場で「バイオメディカル研究とヘルスリサーチ研究は車輪の両輪であり、両者が調和して始めて医療が良くなる」と述べておられました。しかし車輪にはそれをつなぐシャフトが必要です。そのシャフトこそが医療者であり、そこに必要な特性が、まさに開原先生のような「医療への情熱と全き人格」ではないかと思われるのです。

その意味から先生はまさに「良き医療の具現者」でした。
先生の薫陶を受けて、私は2005年にファイザー主催の記者懇談会で「ヘルスリサーチは医療の救世主」という考え方による講演を行いました。この考えは今でも変わりはありません。今後は開原先生の遺志を継いでヘルスリサーチの振興に微力ながら力を注ぐとともに、医療者として一歩でも先生のご人格に近づけるよう、精進していきたいと思います。末筆ながら、開原先生のご冥福を心からお祈りします。


在りし日の開原成允先生

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